こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。
ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。
今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座【2-1】キャラクターとは?/Introduction to Characterの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、2章は「キャラクター/Character」。
【2-1】キャラクターとは?/Introduction to Characterは、あなたのキャラクターを魅力的なキャラクターへ進化させるピクサーのテクニックをご紹介します。ぜひ後半のレッスンもチャレンジしてください。
それでは参りましょう!
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。
キャラクターとは?
キャラクターとは、あなたと一緒にストーリーを旅する登場人物です。キャラクターは人やモノなど様々です。
例えば、「魚」
「ロボット」
「車」
「おもちゃ」
「感情」
そして、全てのピクサー映画の中心はキャラクターから成り立ちます。
それでは、ピクサーはどのようにキャラクターを想像し、キャラクターを生き生きとさせるのでしょうか?2章「キャラクター/Character」では、ピクサーのキャラクター作りがストーリーテリングにおいてどのように機能しているかをお話しします。
ぜひ、あなただけのキャラクターを一緒に作りましょう。
キャラクターをエレベーターに閉じ込める
ピクサーでは、キャラクター作りに悩んだとき「エレベーターテスト」という手法を使います。
「エレベーターテスト」とは、キャラクターをエレベーターに閉じ込めて「危機をどう対処するか」を考える手法です。
実際にイメージをしていただくために二人の一連の会話を見てみましょう。
※動画の方が参考になります!
参考動画:キャラクターの作り方/Character Development(日本語翻訳)
エレベーターテスト
【登場人物】
女性A・女性B
女性Aと女性Bはキャラクター作りについて会話をしながら廊下を歩いています。二人はエレベーターに乗り、扉が閉じた瞬間、エレベーターが止まります。
ここで二人の対処法が分かれるのです。
女性A:大丈夫、大丈夫。それで話の続きをしてもらえる?
女性B:そうね、そうね。(冷静で話そうとするも、脈拍が上がり、瞳孔が開く)
そのとき、電気が消えて真っ暗になる。
女性B:誰かー!!!助けてー!!!(叫び、外に助けを求める)
女性A:ここかなー。(冷静に電気をつける)
電気が点き、明るくなる。
そして、時間が経過します。
女性B:ハァッ、ハァッ(過呼吸になる)
女性A:いつか外の人が、自分たちがいないことに気づくから大丈夫よ。
(冷静に状況を判断し、紙袋で女性Bの呼吸を整えながら、抜け道を探す)
– 数分後 –
女性A:(瞑想して精神を安定させる、相手を心配する)
女性B:(泣き崩れる、怒る、過食になる)
– 数分後 –
女性A:(画用紙に絵コンテを描く)
女性B:(画用紙に「HELP」と書き、防犯カメラに向ける)
ここでエレベーターのアナウンスが流れます。
エレベーターの声:「エレベーターテスト」はいかがでしたか?
エレベーターテストの結果
エレベーターに閉じ込められた二人は危機をどう対処しましたか?「エレベーターテスト」の結果を見てみましょう。
女性A
- 冷静に対処する
- 的確に状況を分析する
- 精神を落ち着かせる
- 相手を心配する、助ける
- 気長に待つ
女性B
- 脈が上がり、瞳孔が開く
- 叫ぶ
- 泣き崩れる
- 怒る
- 過食になる
- 落ち着かない
二人のキャラクターでも、はっきりとした行動の違いが表れました。そして女性Bのような欠点があるキャラクターは面白いですよね。この「欠点」こそが、観客がキャラクターに興味を持つ「鍵」となります。
あなたのキャラクターはエレベーターに閉じ込められたら、どのような行動を取りますか?
【レッスン】キャラクターをエレベーターに閉じ込めよう
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座のレッスンです。
今回は、実際にエレベーターテストをやってみましょう。「3つの物語」と「あなたのキャラクター」を使いますので、下記ページをご覧ください。
- 「3つの物語」:【1-3】あなたの好きな物語/Your favorite stories
- 「あなたのキャラクター」:【1-5】世界観とキャラクター/World & Character
キャラクターの本質を考えるレッスンですので、ぜひチャレンジしてくださいね。
それでは、エレベーターテストです。
1. 好きなキャラクター
あなたの好きな「3つの物語」から好きなキャラクターを1人選びます。
好きなキャラクターは、エレベーターに閉じ込められたらどのように危機を対処するでしょうか?
何が起こるか想像し、紙に書き出してください。(もちろん絵にしてもOKです!)
2. あなたのキャラクター
「あなたのキャラクター」は、エレベーターに閉じ込められたらどのように危機を対処するでしょうか?
何が起こるか想像し、紙に書き出してください。(もちろん絵にしてもOKです!)
今回のレッスンは以上です。
あなたのキャラクターの「危機の対処」が書き出せたら、コメント欄やTwitterに投稿してみてくださいね。
<#タグはこちら>
#ピクサーレッスン
#エレベーターテスト
【2-1】キャラクターとは?/Introduction to Characterのまとめ
エレベーターテストはいかがでしたか?
もし、キャラクターの「欠点」が見つかったら、それは観客の興味を惹く「鍵」となります。完璧なキャラクターは観客の興味を惹くことが難しいです。それは、この世に完璧な人間が存在しないからです。
あなたがこれから作るキャラクターは人、魚、ロボット、車、おもちゃ、感情など様々です。観客はあなたのキャラクターが直面する危機、乗り越える行動、そこで学ぶ教訓に共感します。
第2章「キャラクター/Character」では、キャラクター作りにおける大切なポイントをお話しますので、ぜひ楽しんでください。
【2-1】キャラクターとは?/Introduction to Characterは以上です。
【2-2】内面と外見/Internal vs external featuresへお進みください。
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【2-1】キャラクターとは?/Introduction to Characterの動画
【2-1】キャラクターとは?/Introduction to Characterの日本語翻訳
【登場人物】
ルイス(Louise Smythe:Story Artist)
アトン(Aphton Corbin:Story Artist)
エレベーター(エレベーターの声)
ルイス:こんにちは、アートン!
アートン:やあ、ルイス!
ルイス:何してるの?
アートン:今、キャラクターの授業を担当しているんだけど、少し悩んでいて。
どうやったら観客は「キャラクター」をもっと気にかけてくれるのかしら。
ルイス:それは難しいわね、、、
「エレベーターテスト」って知ってる?
アートン:何それ?知らないわ。
ルイス:自分が作ったキャラクターで悩んでいて、そのキャラクターの本能を知りたいとき、キャラクターを「エレベーターの中」に入れるといいのよ。それから…(二人でエレベーターの中へ入る)
(大きな音)
ルイス:今のは何!?
アートン:大丈夫、大丈夫よ、それでルイス、エレベーターの何かを教えてくれるのよね?
ルイス:そう、そうよだから、キャラクターのことを知りたいときは、エレベーターに閉じ込めて危機をどう対処するか見ればいいのよ、、、(動悸)
(電気が消えて暗闇になる)
ルイス:ここから出してー!!!誰かいないのー!?エレベーターが止まったわー!本当よ!本当に止まっちゃったのよ!!!
アートン:ここかな、、、(スイッチを探す)
(明るくなる)
電気は点いたわ!それから何?
− 3:07 pm −
アートン:私たちは会議の約束があるから、きっと誰かがいないって気付いてくれるわ。
− 3:32 pm −
アートン:ほら息を吸って。(ルイスの呼吸を落ち着けさせる)
どこかに抜け道があるはずよ、、、息を吐いて!
− 3:49 pm −
アートン:(瞑想をする)
ルイス:(泣き崩れる)
− 4:15 pm −
ルイス:誰も助けに来ないじゃない!
アートン:大丈夫よ。
− 4:38 pm −
(ルイス:過食になる)
アートン:ルイス、平気?
ルイス:平気ですー!!!
− 4:51 pm −
アートン:(画用紙に絵コンテを描く)
ルイス:(画用紙に「HELP」と書く)
エレベーター:こんにちは。レッスンは全て終わりましたか?
ルイス:ああ、ねえ、ここから出してよ!
エレベーター:私はこの「エレベーター」です。私のレッスンでキャラクターのことは考えられましたか?困難な状況のとき、どのような行動をするか分かりましたか?
ルイス:バカにしてるの!?ここから出してってば!
アートン:待ってルイス。本当にテストは機能しているよ。
キャラクターたちが危機をどう対処するか、良い考えを得ることができたわ。ルイスは?
ルイス:私は、、、えぇっと、、、
エレベーター:効果があったようですね。それぞれのキャラクターでも、違いがあったことでしょう。
おまけに、面白いキャラクターには欠陥があることもわかりましたね。お気になさらず。この「欠陥」こそ、観客がキャラクターを気にする鍵となります。
あなたが生み出したキャラクターは人、魚、車、ロボットなど様々でしょう。そしてキャラクターが学ぶ教訓、直面する課題、感じることを、観客は共感します。観客が興味を持ってくれるキャラクター作りに悩んでいるときに試せることは他にもあります。
アートン:分かったわ、エレベーター。キャラクターの授業とは、まさにこういうことよね。
エレベーター:ストーリーテリングを次のステップに進むために、私はいつでもお待ちしています。
(エレベーターが開く)
アートン:またね。
ルイス:さようなら。
(散らかったエレベーターが写り)
エレベーター:次のお客様は、キレイな方でありますように。