こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。
ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。
今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座【1-5】世界観とキャラクター/World & characterの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、1章は「私たちはみんなストーリーテラー/We are all storytellers」。
【1-5】世界観とキャラクター/World & characterは、あなたのアイデアがより具体的なストーリーへ、グッと近づきます。後半のレッスンもチャレンジしましょう。
それでは、どうぞ!
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。
「世界観」と「キャラクター」とは?
「もし…なら、どうなるだろう?」というアイデアは「世界観」と「キャラクター」に結びつけることでストーリーが生まれます。
「もし…なら、どうなるだろう?」は、【1-4】もし…なら、どうなるだろう?/What if…で紹介していますので、左記のページをご覧ください。
世界観とは、物語が起こる「環境」や「一連の設定」です。
例えば、『ファインディング・ニモ』のサンゴ礁。
『インサイド・ヘッド』のような、少女の心の中です。
キャラクターとは、物語という冒険の中で私たちが追っていく「人」や「モノ」です。
『ウォーリー』の場合、世界観とキャラクターに結びつけた「もし…なら、どうなるだろう?」はこのようになります。
- 世界観:800年後の地球
- キャラクター:ロボット
- 「もし」:もし、地球上で取り残されたロボットがいたら、どうなるか?
ストーリーを伝えるには、世界観とキャラクターを結びつけることが大切です。
好きな「世界観」と「キャラクター」
ピクサーのスタッフはどのような世界観とキャラクターに影響を受けたのでしょうか?実際にお話を聞いてみましょう。
1. 『スター・ウォーズ』の「もし」はとても壮大です。“もし、人間の心を無意味な技術で破壊しようとする悪と、その人間の心を守ろうとする反乱軍との間で戦争が起きたら、どうなるのか?” 僕はこの世界観に引き込まれました。
– サンジェイ・ペーテル:Animator,Storyboard Artist –
2. 『トイ・ストーリー』の凄いところは「成長」をおもちゃで表現していることです。一見するとシンプルなお話だけど、よく観ると複雑で美しい。この比喩表現の世界観はストーリーを進めるのにもぴったりで、私たちの心を離さない、天才的な映画です。
– クリスタン・レスター:Storyboard Artist –
3. 僕のお気に入りは、コーエン兄弟監督の『赤ちゃん泥棒』のキャラクターです。”赤ちゃんを盗みたい”という主人公のインパクトが強くて世界観の印象が薄れるけど、主人公の夫妻はその盗んだ赤ちゃんと家族になる「キャラクター」は、僕にとってとても新鮮で、今も忘れません。
– サンジェイ・ペーテル:Animator,Storyboard Artist –
ピクサーのスタッフが好きな映画を一度はあなたも見たことありませんか?後半のレッスンでは、あなたの好きな物語の世界観とキャラクターについて考えましょう。
「世界観」と「キャラクター」はどちらを先に考えるか
ピクサーのスタッフは世界観とキャラクター、どちらを先に考えるのでしょうか?お話を聞いてみましょう。
1. 私は、キャラクターを先に考えます。
例えば「盲目の人」と「普通に目が見える人」がズボンを履き忘れて家を出たら、話が全く変わってきますからね。環境とか設定が同じでも、この2人は全く違うストーリーになるので、私にとってキャラクターは「王様」よ。
– ドミ・シー:Storyboard Artist –
2. 僕は、世界観を先に考えるよ。それからその世界観に馴染んだり、存在したりするキャラクターを探すんだ。たくさんのキャラクターがストーリーの中で動きやすくなるような、ぴったりの世界観を先に作ってあげるよ。
– マーク・アンドリュー:Director –
ピクサーのスタッフでも考え方は、人それぞれです。世界観を先に考える人もいれば、キャラクターを先に考える人もいます。大切なのは、世界観」とキャラクターが出会うことです。
【レッスン】「世界観」と「キャラクター」を考えよう
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座のレッスンです。
今回のレッスンはストーリーの「世界観」と「キャラクター」について考えます。「3つの物語」と「もし…のアイデア」を使いますので、下記ページをご覧ください。
- 「3つの物語」:【1-3】あなたの好きな物語/Your favorite stories
- 「もし…のアイデア」:【1-4】もし…なら、どうなるだろう?/What if…
本日のレッスンは4つです。それでは、いきましょう。
1. 好きな物語の世界観とキャラクター
あなたが好きな3つの物語の世界観とキャラクターについて、以下の3つを考えましょう。
- 主人公はどんな「キャラクター」ですか?
- 主人公をよく理解している「キャラクター」はいますか?
- どんな「世界観」ですか?そして、その世界観は1つですか?2つですか?
2. 世界観とキャラクターの交換
あなたが好きな3つの物語の世界観とキャラクターを交換してください。どんなことが起こるか考えましょう。
3. 「もし」の世界観とキャラクター
あなたの「もし…のアイデア」の、世界観とキャラクターを考えましょう。
4. キャラクターの生活【中級】
【できる人はやってみよう】
あなたが考えた世界観で、キャラクターはどんな生活をしていますか?書き出してみましょう。
今回のレッスンは以上です。
キャラクターの生活が書き出せた人は、コメント欄やTwitterに投稿してみてくださいね。
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#ピクサーレッスン
#世界観とキャラクター
【1-5】世界観とキャラクター/World & Characterのまとめ
世界観とキャラクターが想像できれば、より具体的なストーリーを伝えることができます。
世界観とキャラクターはどちらを先に考えても大丈夫です。大切なことは世界観とキャラクターを結ぶことだからです。
ぜひ、あなただけの「世界観」と「キャラクター」を自由に想像してください。
【1-5】世界観とキャラクター/World & Characterは以上です。
【1-6】ストーリーテリングのアドバイス/Adviceへお進みください。
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【1-5】世界観とキャラクター/World & Characterの動画
【1-5】世界観とキャラクター/World & Characterの日本語翻訳
【登場人物】
バレリー(Valerie LaPointe:Story Artist)
サンジェイ(Sanjay Patel:Animator,Storyboard Artist)
クリスタン(Kristen Lester:Storyboard Artist)
ドミシー(Domee Shi:Storyboard Artist)
マーク(Mark Andrew:Director)
ナレーター:「もし…なら、どうなるだろう?」という仮定は、最終的にはその「世界観」と「キャラクター」に結びつけます。
「世界観」とは、私たちにとって物語が起こる環境や一連の設定を意味します。文字通り、サンゴ礁あったり、小さな女の子の心の中という、例え話であったり。
「キャラクター」とは、物語という冒険で私たちが辿っていく、モノや人です。
“もし、地球上で取り残されたロボットがいたら、どうなるか?”とかを言います。
それでは、ピクサーのストーリーアーティストがどのような「世界観」や「キャラクター」影響を受けたか聞いてみましょう。
ーどのような「世界観」や「キャラクター」が好きですか?ー
サンジェイ:『スター・ウォーズ』は「もし」はとても壮大だね。
「もし、人間の心を守ろうとする反乱軍がいた場合、どうなるか?」ということだよね。「人間の心にある繊細な感情を無意味な技術で排除しようとする奴らと、両者との間で戦争が起きたら一体どうなるだろうか?」僕はこの映画の「世界観」に引き込まれたよ。
クリスタン:『トイ・ストーリー』の凄いところは、「成長」を美しい比喩で表現していること。
一見するととてもシンプルな話だけど、よく考えるととても複雑で、とても美しくて、これは天才的な映画だと思うわ。この比喩表現された「世界観」はストーリーを進めていくのにぴったりで、しかも私たちの心を掴んで離さない。本当に良い例だと思います。
サンジェイ:僕のお気に入りの映画はコーエン兄弟が監督した『赤ちゃん泥棒』です。”赤ちゃんを盗みたい”という主人公のインパクトが強くて、世界観の印象が薄れてしまうんだけど、主人公とその妻は、盗んだ赤ちゃんと家族になるんだ。
僕にとってこの「キャラクター」はとても新鮮で、画面を飛び越えているようだった。今でも感動するよ。
ー「キャラクター」と「世界観」はどちらが先に思いつきますか?ー
ドミシー:私は、「キャラクター」を先に考えてから「世界観」を後に考えます。
例えば「盲目の人」と「普通に目が見える人」とでズボンを履き忘れて家を出ようとしたら、話が全く変わってくるでしょう?
周りにあるものとか設定が全て同じでも、この2人は全く違うストーリーになっていくの。だから私にとって、「キャラクター」は王様よ。
マーク:みんなが少しずつ違うように動くから、僕は「世界観」を先に考えるよ。それからその世界観に馴染んだり、存在したりする「キャラクター」を探すんだ。
たくさんのキャラクターがストーリーの中で動きやすくなるような、ぴったりの「世界観」を先に作ってあげるよ。
ナレーター:「世界観」が先に思いつく人も、「キャラクター」が先に思いつく人もいましたね。いずれにしても大事なのは、「世界観」と「キャラクター」の両方が出会うこと。
次のレッスンでは、あなたが大好きな映画の「世界観」と「キャラクター」について考えてみましょう。