こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。
ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。
今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座第【4-6】トーン/Toneの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、4章は「ビジュアル/Visual language」。
【4-6】トーン/Toneは、シーンにおける「トーン」の役割についてお話しします。トーンやコントラストを使えば、観客の視線を集めたり、ムードを演出したりできます。
キャプチャー画像を使いながら説明もしていますが、わからない部分は動画と日本語翻訳文と照らしながら学んでみてください。
後半のレッスンでは「トーン」を描きますので、ぜひチャレンジしてください!
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。
【4-6】トーン/Toneの動画
【4-6】トーン/Toneの日本語翻訳
【登場人物】
ナレーター(Bobby Rubio:Story Artist)
ダニエラ(Daniella Strijleva:Production Designer)
マイケル(Michael Yates:Story Artist)
アルバート(Albert Lozano:Character Art Director)
スコット(Scotto Morse:Story Artist)
ナレーター:
線、形、そして遠近法に加え、観客の視線を動かし物語の要点を伝えるもうひとつの方法を、「トーン」または「陰影」と呼びます。
シーンのすべての要素の明るさと暗さを調整することで、観客の目線を動かし、特定の雰囲気を作ります。
明るいトーンからは、自由や楽しさ、または陽気さを感じます。

一方で暗いトーンは、神秘的な雰囲気、哀しみ、不吉さを感じます。

もうひとつの方法は、「コントラスト」です。これは、並んでいる物体の明るさと暗さの違いです。
コントラストが低いと、光と陰の差がほとんどなく、静かで落ち着いた雰囲気を作ります。

コントラストが高いと、隣り合う明るさと暗さがはっきりと分かれ、心の興奮や動揺、ドラマや対立を感じます。
コントラストが最も高いところに自然と最初に目が行くため、コントラストで観客の視線を集めることもできます。

実際にアーティストたちがどのように「トーン」を使っているか聞いてみましょう。
ダニエラ:
『カールじいさんの空飛ぶ家』のこの絵では、まず「一点透視図法」で観客の視線を絵の中心のカールの家に向けさせるの。

画面の手前のすべての物がとても暗く沈んでいるせいで、背景の明るい色の方向へ浮かび上がっていくように感じるわ。
マイケル:
『カールじいさんの空飛ぶ家』この絵には基本的に2種類の明るさがあって、1つは背景の明るさ。グレーで中心辺りをまとめているね。

そして中心はもっと明るいから、明るさと暗さのコントラストができて、すぐに視線が中心に集まる。
この絵で一番暗いのはキャラクターです。暗いグレーの隣に一番明るい白い部分があることで、視線をまっ先に中心に向けさせるよ。窓枠の明るめのグレーも、絵の中心へと視線を移動させている。
アルバート:
「トーン」を使って様々なことができるよ。
僕は『カールじいさんの空飛ぶ家』のこの画面で、背景に対してキャラクターを暗くて二人の部屋がとても暗いことを、どうやって表現するか考えたんだ。

そこで、外から射しこむ光で二人を照らすことを思いつき、暗さと明るさがぶつかる所に新しい力を生ませたんだ。そうすることでキャラクターの縁の強い光に視線が動き、そこで物語の対立を起こさせたんだ。
スコット:
『カーズ/クロスロード』のこの絵から、「トーン」が観客の視線を動かす役割を果たしていることがわかるよ。

まず、トーンであるグレーの部分を見ると、面白いことに気がつくんだ。実際にはトーンをこのように絵を描く時のように「灯り」として扱う。
よく見ると、トーンの中に「大きな円」と「四角形」の2つの形があり、そこに視線が動くよ。

大きな円が一番大切なトーンで、「コントラストが高く」、たくさんの線が描き込まれている白い部分に目を向けさせる。
そしてもうひとつ気づきにくいけど、次に大切なトーンが大きな四角形で描かれている。
ここでもトーンが形になって、灯りを集めるスポットライトとして、見せ場や視線の方向を示しているんだ。
マイケル:
僕は『カーズ/クロスロード』のこの絵でトーンの少し違った使い方をしたよ。

これは「感情」を強く表現した絵で、いわゆるマックィーンの「陰の瞬間」だよ。この日の砂浜での特訓の後に、自分がレースでストームに勝てるほど速く走れないことや、充分な練習ができていないことに気づくんだ。
下から顔に向かって少しだけ「明暗の差」があり、失敗や空虚さを感じさせる。
明暗の差は、明るさがだんだん変化することで、まずマックィーンの輪郭はそのままで、表面に明暗の差をつけるトーンを使ったんだ。
「影」をつけるように一番暗い色から一番明るいを、上に行くほど大きくなる斜線で示すんだ。一番暗い下の方からだんだん明るくすると、マックィーンにぼんやりと「もや」や「霧」がかかったようになる。

こうすることで、マックィーンの心の状態を観客に伝えているんだ。
ナレーター:
「トーン」によって雰囲気をつくり、見る人の視線を動かし、観客にどんな情報を伝えるか選択することができます。
次のレッスンでは、あなたの絵に「明暗」をつけて手を真っ黒にしましょう。
【レッスン】トーンを描いてみよう
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座のレッスンです。
今回は「トーン」について考えます。「動線」を使いますので、下記ページをご覧ください。
- 「動線」:【4-5】動き/Motion
今回は3つのステップです。それでは、どうぞ!
1. トーンの役割を考える

上記の画像をゆっくり観察して、トーンについて以下の2つを考えましょう。
- どのようなムードを表現していますか?
- どのようなコントラスト(低い、高い、最も高い)が使われていますか?
2. トーンを描く
以下の手順で、トーンを描いてみましょう。
- まず白紙を用意して、7つの四角形を横並びに描きます。
- 次に、左端の四角形はそのままに、右端の四角形を真っ黒に塗ってください。
- だんだんと暗くなるように間の四角形を塗り、トーンを描きましょう。
(鉛筆、ペン、マーカーなど好きな筆を使ってOKです!)

3. 動線のトーンとコントラスト
【4-5】動き/Motionで学んだ「動線」を使います。
その用紙にトーンとコントラストを描き、観客の視線を最も重要な部分に向けてみましょう。
今回のレッスンは以上です。
トーンが描けた人は、コメント欄やTwitterに投稿してみてくださいね。
<#タグはこちら>
#ピクサーレッスン
#トーン
【4-6】トーン/Toneのまとめ
トーンを使えば、観客の視線を集めることもできますが、キャラクターの感情も表現できます。
あなたのストーリーの大切なシーンでもトーンやコントラストを描き、ムードを最大限に高めてください。
【4-6】トーン/Toneは以上です。
【4-7】色/Colorへお進みください。
こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供す[…]
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
こんにちは!ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。ピクサーは世界が認めるストーリーテリングの伝道師。ピクサーの全21作品(1995年〜2019年)は、アニメ映画賞の最高峰と言われるアカデミー賞「長編[…]