こんにちは、ストーリーライターのそーじろ（@sojiro_story）です。
ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。
Khan Academy（カーンアカデミー）が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。
今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座【6-6】ピッチと感想のアドバイス／Adviceの解説です。（TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力）
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、6章は「ピッチと感想／Pitching and feedback」。
【6-6】ピッチと感想のアドバイス／Adviceは、6章の最後の講座です。
ピクサーのスタッフが未来のストーリーテラーへ向けて「ストーリーテリング」や「編集」のアドバイスを送っていますので、最後までお楽しみください。
それでは、どうぞ！
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。
ピッチと感想で大切な5つ
ピッチと感想で大切な5つのポイントをまとめたのでご紹介します。
1. 撮影してみる
1つ目のポイントは、「何か」を撮影してみることです。
「何か」とは、自分が描いた絵コンテではなく、外の景色や日常風景などです。
「何か」を撮影する目的は、編集の機会を増やすことです。常に何かを編集できるようにしておけば、常に練習ができます。
画像を並べたり、音楽を入れたりして、実際に手を動かしてみることで、編集の感覚を掴みましょう。
大切なのは、撮影の内容を決めることではなく、挑戦し続けることです。
2. 自分のために絵を描く
2つ目のポイントは、自分ために絵を描くことです。
ストーリーを作る目的は、将来の仕事のためではありません。
あなたの身の回りの「かけがえのないモノ」や「笑顔にさせてくれるモノ」などは、あなたにしかない体験です。
将来、映画会社で働くために絵を描くのではなく、あなた自身から湧いてくる感情を絵に描いてください。
3. ストーリーに触れる
3つ目のポイントは、多くのストーリーの世界に触れることです。
映画、小説、マンガ、ドラマなど、世界中には優れたストーリーが溢れており、これらはあなたを成長させる教科書です。
たくさんのストーリーに触れて、シーンを分析したり、「音」の役割を考えたりして、「知恵」を身に付けましょう。
4. 外の世界へ飛び出す
4つ目のポイントは、部屋に閉じこもらず外の世界へ飛び出すことです。
ストーリーテリングで大切なのは「あなたの体験」です。
自分の安全領域を離れて様々な人と出会うことで、自分と違う「考え方」や「モノの見方」に気が付きます。
今は、インターネットで世界中のアーティストと繋がれるチャンスがあり、世界中の人と価値観の共有が可能です。
殻に閉じこもってストーリーを作るのではなく、体験を増やすことであなただけのストーリーを作りましょう。
5. 繰り返しの練習
5つ目のポイントは、繰り返し練習することです。
繰り返しの練習は、ピクサーのストーリーテリング講座ではお馴染みのアドバイスですが、最後までお伝えします。
編集の技術を取得するのに何年もの歳月がかかっているのは、ピクサーの編集者も一緒です。そしてピクサーの編集者は、今もなお学び続けています。
ピクサーでは、才能を持っていることより、粘り強く頑張り続けることに「価値」を見出しています。
努力を重ね、取り組み続けることで得られる「自信」はかけがえのない誇りであることを、ぜひ覚えてください。
【6-6】ピッチと感想のアドバイス／Adviceのまとめ
ピクサースタッフのアドバイスはいかがでした？
もしあなたが、ストーリーテリングや編集で行き詰まった時は、ぜひまた覗いてみてください。
あなたのストーリーが、人々の心に残る作品になることを心から応援しています。
【6-6】ピッチと感想のアドバイス／Adviceは以上です。また、6章「ピッチと感想／Pitching and feedback」の講座もこれで終了です。
お疲れ様でした:)
ピクサーのストーリーテリング講座はこれで全て終了です。
最初から学び直したい方は【1-1】ストーリーテリングとは？／Introduction to storytellingでお待ちしています。それでは。
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【6-6】ピッチと感想のアドバイス／Adviceの動画
【6-6】ピッチと感想のアドバイス／Adviceの日本語翻訳
【登場人物】
アナ（Anna Wolitzky：Editor）
アクセル（Axel Geddes：Editor）
ボブ（Bob Peterson：Writer）
ドミシー（Domi Shi：Story Artist）
アナ：
編集を習得するには長い年月がかかります。どんな編集者も常に学び続けているわ。
とにかく何度も繰り返して練習するのよ。
アクセル：
できる限りたくさんの編集をやることさ。
編集の機会を作るために、何かを撮影してみよう。いつも何かの編集に取り組めるようにするんだ。そして、スマートフォンや無料のソフトウェアを使って、編集してみよう。
実際に手を動かし、色々なことに挑戦する。画像を並べて、音楽を入れて、どうなるか試してみる。感覚をつかみ、実験するのが目的だよ。
ストーリーの内容を先に決めて結果を心配するのでなく、まず取りかかってみよう。練習をくり返せば、必ず上達するんだ。
ボブ：
そして、粘り強さを持つことさ。頑張り続けることは、才能があることより大切だ。
絶対に上手くなりたいという気持ちは、努力をしないで上手にできる才能より、ずっと価値があるんだ。
アクセル：
努力を重ねると、満足感がある。一生懸命に取り組み続けると、自信がつく。
そして忘れないで欲しいのは、難しい問題の解決策ほど自分に誇りを持つことさ。
ボブ：
将来の仕事のために絵を描くのは良くない。自分のために「絵」を描くんだ。自分の中で湧いてくる感情を、絵で表現する。
“これだけ絵を描いたら、ピクサーで働けるかも”
という考えは何にもならない。
絵を描くために大切なのは、自分のまわりの「かけがえのないもの」や「笑顔にさせてくれるもの」に気づくことだよ。
一日中部屋に閉じこもって絵を描くのも良くない。外の世界に触れよう。
ドミシー：
色んなストーリーに耳を傾け、鑑賞し、読んで、新しいストーリーの世界を体験するのよ。
アナ：
たくさんの映画を観て、自分なりにシーンを分析するの。
どのシーンは効果的で、どのシーンはあまり意味がないかを判断する。
映画を観る時に音に注意して、その音がストーリーを伝えるためのどんな役割をしているか考えるのもいいわ。
ドミシー：
私は、自分にとって慣れて安心できる場所から抜け出すことで、人として、そしてアーティストとしてたくさんのものを得てきたわ。
自分とは違う「考え方」や「ものの見方」に出会えるからよ。
ボブ：
僕が夏のキャンプの指導員をした時に、貴重な体験をしたよ。
部屋に閉じこもっているのでなく、外の世界に触れた体験が、映画作りに素晴らしい影響を与えてくれたんだ。
『カールじいさんの空飛ぶ家』で犬のダグがカールに最初に言う言葉が、
“今会ったばかりだけど、あなたが大好き”。
実は、夏のキャンプで僕に走り寄ってきた初対面の子供が、
“僕の指導員だから、あなたが大好き”
と言った言葉なんだよ。
自分の中で積み重なった体験が、アーティストとしての表現に生かされる。
だから、外に出て新しい世界と触れ合おう。でもスケッチブックを忘れないようにね。
ドミシー：
それから、世界も変化しているわ。アニメーションを学ぶ女の子が増えて、今では多くのアニメーション学校の生徒の7割くらいが女の子よ。
状況が変化していることが嬉しい。私はインターネットで目にするたくさんの女性アーティストから、とても刺激を受けるの。
自分の身近な人たちだけでなく、今はインターネットで世界中の人々とつながれる。
あなたと同じものを好きな人が、世界中で見つかるのよ。どこかに仲間がいるなんて本当に心強いわ。