こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。
ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。
今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座【5-5】ダイナミクスショット/Dynamics shotsの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、5章は「映画技法/Film grammar」。
【5-5】ダイナミクスショット/Dynamics shotsは、カメラに動きをつける「ダイナミクスショット」についてお話しします。
キャプチャー画像の「動き」を、ぜひチェックしてください。
難しい部分はわからない部分は動画と日本語翻訳文と照らしながら学びましょう。
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。
【5-5】ダイナミックショット/Dynamics shotsの動画
【5-5】ダイナミクスショット/Dynamics shotsの日本語翻訳
【登場人物】
ナレーター(Louis Gonzales:Story Artist)
リー(Lee Unkrich:Director)
キャサリン(Katherine Ringgold:Editor)
アンドリュー(Andrew Jimenez:Digital Storyboard Artist,Director)
ブライアン(Brian Kalin O’Connell:Story Artist)
ナレーター:
ここまでのレッスンでは、ストーリーをシーンとショットに区切り、キャラクターがいる環境での演出と、カメラによる様々なショットと画面構成について学びました。
今までのカメラは、映画全体で位置や向きが固定されていました。カメラを動かさずに撮影したのが「フィックス」です。
フィックスを使うと直接的でわかりやすい画面構成になり、画面構成そのものに注意を引きません。
フィックスを使い続ける必要はなく、カメラを動かして「ダイナミクスショット」を撮影することもできます。
ダイナミクスショットを使えば様々な効果が生まれ、スピード感や視点の移動を表現できます。
ダイナミクスショットにはたくさんの種類があり、「パン」はカメラを上下または左右に振り、画面上のさらなる情報を見せます。
「ドリー」はレールの上で移動するようにカメラを地面と平行に動かします。
「ズーム」は画面の中の物に近寄ったり遠ざかったりすることです。
そして「トラック」は、ストーリーの環境内での特定の物の動きをカメラで追いかけます。
– ダイナミクスショットはどのように使いますか? –
リー:
ダイナミクスショットは画面で起きている動作をとらえるためにあるよ。
カメラを動かすこともあり、観客に特別な感情を伝えるためでもある。
例えば部屋に座っているキャラクターが自分に影響を与えた感情的な過去の何かを話しているとする。
そこで話をしているキャラクターにカメラをゆっくりと近づけることで、観客がキャラクターに寄り添い側で話を聞いているように感じるよ。
キャサリン:
『カールじいさんの空飛ぶ家』の伝説の鳥に出会う前のシーンでは、カメラがとてもゆっくり動いているの。
ゆっくり前進しているカールをカメラが追いかけることで、観客は”カールの旅はやけにのんびりだな”と感じる。
そして引きずるように歩いているラッセルが地面に倒れ込み、トイレに行きたくなる。そこで二人は立ち止まり、カメラも動かなくなるの。
アンドリュー:
カメラを動かす理由のひとつは、観客に情報を明かす時がきたからさ。
『Mr.インクレディブル』でボブとフロゾンが車の中で警察の無線を聞いていると、カメラが一台の車に移動し、車の中から二人を見張っているミラージュが映ります。
最初は気づかなった三人目のキャラクターの存在を、彼女の視点で明かしているよ。
リー:
カメラを三脚にのせたようにしっかり固定して撮影する時がある一方、手持ちカメラで撮影したい時もあるんだ。
『モンスターズ・インク』のシークエンスでは、CDAと呼ばれる子供検疫局が突然「怖がらせフロア」に侵入してきます。子供の靴下がモンスターの世界に持ち込まれてしまったからさ。
CDAが侵入するシーンすべてを複数の手持ちカメラで撮影し、混乱して張りつめた雰囲気を作ったんだ。
まるでその日偶然その場にいた「怖がらせフロア」のドキュメンタリー映画の撮影隊が、CDAの突然の乱入の様子をカメラで素早く撮影し、フロアで起きる出来事に次々とカメラを向けているようにね。
手持ちカメラを使うことで、三脚にのせたカメラで撮影したフィックスとはまったく違う雰囲気が生まれたよ。
ブライアン:
常に観客のことを忘れないことさ。
ダイナミクスショットの目的は、ただ動作のシークエンスを作ることではなく、キャラクターが経験していることを観客に感じさせることだ。
ひとつのシーンを撮影したら、またすぐにそのキャラクターが次に何をしているのかにつながるシーンを作るんだ。
カメラを動かすのは簡単で楽しいし、生き生きとしたショットが撮影でき面白さを演出できるけど、やり方を間違うと観客にそっぽを向かれる。気をつけないと危険だよ。
ナレーター:
ピクサーのスタッフが話したように、カメラを動かす方法はたくさんあります。
フィックスと違い動きがあるショットは観客の注意を引くため、面白半分に使ってはならないのです。一度台無しになったストーリーをカメラの動きでは修正できません。
それでは気をつけて次のレッスンに進んで下さい。
【レッスン】ダイナミクスショットを考えよう
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座のレッスンです。
今回は「エクストリームショット」について考えます。「3つの物語」を使いますので、下記ページをご覧ください。
今回は2つのステップです。それでは、どうぞ!
1. 好きな物語のダイナミクスショット
あなたの好きな物語からダイナミクスショットを使ったワンシーンを選び、以下3つの質問を考えましょう。
- そのシーンではどのようなダイナミクスショットが使われていますか?
- そのダイナミクスショットは、ストーリーでどのような役割を果たしていますか?
- そのダイナミクスショットは、どのような感情的な効果がありますか?
2. あなたの物語のダイナミクスショット
あなたの物語でダイナミクスショットを使う可能性があるシーンを特定し、以下の3つを考えましょう。
- どのようなカメラの動きを使いますか?また、それはどうしてですか?
- そのカメラの動きはあなたのストーリーでどのような役割を果たしますか?
- そのカメラの動きはシーンでどのような感情的な効果を持ちますか?
今回のレッスンは以上です。
ダイナミクスショットが書けた人は、コメント欄やTwitterに投稿してみてくださいね。
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【5-5】ダイナミクスショット/Dynamics shotsのまとめ
ダイナミクスショットで大切なのは、キャラクターが経験していることを観客に伝えることです。
動きが映像は観客の注意を惹くため、あなたが伝えたいストーリーの目的を持って扱いましょう。
【5-5】ダイナミクスショット/Dynamics shotsは以上です。
【5-6】絵コンテ/Storyboardingへお進みください。
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