【4-8】ビジュアルのアドバイス/Visual Language Advice/Pixar in a Box

こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。

ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。

今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座第【4-8】ビジュアルのアドバイス/Adviceの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)

Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、4章は「ビジュアル/Visual language」。

【4-8】ビジュアルのアドバイス/Adviceは、4章の最後の講座です。

ピクサースタッフが未来のストーリーテラーへ向けてビジュアルのアドバイスを送っていますので、最後までお楽しみください。

それでは、どうぞ!

「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。

ビジュアルで大切な4つ

ビジュアルで大切な4つのポイントをまとめたのでご紹介します。

1. 人を観察をする

映画や写真などの作品を見ることも大切ですが、「人を観察すること」も大切です。

スケッチブックを常に持ち歩き、気になった人や出来事を観察しておけば、あなたのアイデアに繋がります。

2. 自由に描く

線、形、空間、動き、トーン、色など、学んだことは一旦忘れて、自由な絵をたくさん描くのも大切です。

きっかけを探すことで、偶然の発見もあります。そのアイデアを「形」にする際に、ビジュアルで学んだ要素を使い、魅力にしていくのです。

失敗を恐れないでください。

3. 最低限必要なシーンを描く

いきなりすべてのシーンを描く必要はありません。

ストーリーでキーとなるシーンを簡単に描き、その前後から考えるのも一つの手です。こうすればシーンの全体が「絵」になり、イメージしやすくなります。

時間効率も良く、シーンの入れ替えもできるため、ぜひ試してください。

4. 最後までやり遂げる

ストーリーテリングの講義でも「挑戦」の話は何度も繰り返していますが、やはりビジュアルのアドバイスでも同様です。

自分に厳しく、「繰り返しのチャレンジ」をすることで、あなたにしかない発見があります。

最後まであきらめずに頑張ってください。

ビジュアルのアドバイス

白い背景に笑顔の若い女性

ピクサーのスタッフが未来のストーリーテラーへ向けて、ビジュアルのアドバイスを送っているのでご紹介します。

1. まだ絵コンテの描き方がわからなかった頃、映画の「エンドロール」で制作者の名前を見て、インターネットでその人たちを検索して質問してみたよ。

– マイケル・イエーツ:Story Artist –

2. 自分が学んでいる線、形、色などすべての技法を使って、色々試してみることさ。

上手くいかなかったら、その理由を考える。なぜやりたいことが達成できないのかを考える。

– アルバート・ロザノ:Character Art Director –

3. 決して忘れてならないのは、「ストーリーを伝える」こと。

自分が“何を伝えたいのか”を問い続ければ、技法の使い方は自然にわかるわ。

– ダニエラ・ストリレヴァ:Production Designer –

4. 自分の絵コンテを発表するとき、僕は自信がなくてみんなの目を見て話せなかった。

そのとき、”マイク、どうしたんだ。自分の絵コンテが誇らしくないのか”と講師に言われた。

その講師が本当に言いたかったことは、みんなが見ているのは自分ではなく「自分の作品」ということなんだ。

– マイケル・イエーツ:Story Artist –

【4-8】ビジュアルのアドバイス/Adviceのまとめ

ピクサーからのアドバイスはいかがでした?

もし、あなたがビジュアルで行き詰まった時は、ぜひまた覗いてみてください。

あなたのストーリーが、人々の心に深い満足を与える作品になりますように。

【4-8】ビジュアルのアドバイス/Adviceは以上です。また、4章「ビジュアル/Visual language」の講座もこれで終了です。

お疲れ様でした:)

次回は5章「映画技法/Film grammar」について学習します。

ピクサーが映画技法における基本的な要素を解説します。画面で表現できる情報の原則を知り、あなたのストーリーをより的確に伝えるテクニックを学んでください。

【5-1】映画技法とは?/Introduction to film grammarでお待ちしています。それでは。

次の講座

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講座一覧

こんにちは!ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。ピクサーは世界が認めるストーリーテリングの伝道師。ピクサーの全21作品(1995年〜2019年)は、アニメ映画賞の最高峰と言われるアカデミー賞「長編[…]

オレンジ色の背景にストーリーテリングと描かれたカチンコ

【4-8】ビジュアルのアドバイス/Adviceの動画

【4-8】ビジュアルのアドバイス/Adviceの日本語翻訳

【登場人物】
マイケル(Michael Yates:Story Artist)
ダニエラ(Daniella Strijleva:Production Designer)
スコット(Scotto Morse:Story Artist)
アルバート(Albert Lozano:Character Art Director)

– ストーリーテラーへのアドバイスはありますか? –

マイケル:
まだ絵コンテの描き方がわからなかった頃の話をするね。

映画の最後に出てくる「エンドロール」で映画の制作者の名前を見て、インターネットでその人たちを検索して質問をしてみたんだ。

驚いたことに本当に良い人ばかりで、嫌な思いをしたことは一度もないよ。

もちろん質問に返信してくれない人もいるけど、絵コンテの描き方を教えてくれる人までいた。

僕からのアドバイスは、自分でやろうと決めたことを途中で諦めず最後までやり遂げ、常に自分に厳しく、挑戦し続けることだよ。

ダニエラ:
とにかく絵を描いて、描いて、描き続けることよ。

私からの一番のアドバイスは、映画や写真や他のアーティストの作品を見ることも大切だけど、何よりもまず「人を観察すること」よ。

私はスケッチブックを持ち歩き、スケッチをしたりメモをとったりするの。絵にしなくてもいいから、人や出来事を観察してみて。

スコット:
形、線、質感など学んだことを覚え、使い方がわかったら、いったんすべての技法から離れてみるんだ。

自由な気持ちで失敗を怖れず、簡単な絵を速くたくさん描いてみる。

アイデアや物語のきっかけを探しているうちに、偶然素晴らしい発見があったりする。

そこから先は学んだ要素を使い、アイディアを画面にする方法を考えるんだ。

例えば、三角形で力強さを出したり、四角形で妨害しているものを表したり。

または、さっき偶然発見した素晴らしいものに視線を向けさせる、何本かの線を足すという具合に。自分が創り出したものの魅力を伝えていけばいいんだ。

アルバート:
自分が学んでいる技法のすべてを使って、色々試してみることさ。

線、形、色などを使って、何でも楽しんでやってみることが一番だ。

そして上手くいかなかった構図から、その理由を考える。やりたいことが達成できないのはなぜかを考える。

失敗してもいいからとにかくやってみることを、僕は一番勧めたいね。

マイケル:
仕事を任されると、まず脚本の数ページを渡されるんだ。

僕たちは、監督、ストーリーの責任者、そして通常ストーリーアーティストのみんなで、会議室のテーブルを囲んで一緒に読むんだ。

読みながらメモをとり、わからないことを質問し、それから自分の仕事場へ戻る。

時には机で目を閉じて脚本のシーンを思い描くんだ。

次にシーンの展開を表す最低限に必要な絵を、いくつもの小さな四角形の中に描いていくんだ。

例えば、車があって、次に車のアップの絵という具合に、脚本全体を絵にするんだ。

ページを小さな四角形で埋めていき、台詞も下に書き込む。

全体の絵を確認し、頭に描いたどおりでなければ最初からやり直す。

この方法だととても手早く、時間をかけずに思い描いたこと全体を、効率よく確認できる。

上手くいかない箇所はシーンを入れ替えるんだ。

“これはここに移そう”、”これは最初がいいな”、という風にね。

こうやって場面を組み立てる前のプランを作り、絵コンテに進むんだ。

ダニエラ:
このレッスンでみんなが学んでいる技法は、視覚的なストーリーテリングの土台で、絶対に知る必要がある「基本中の基本」なの。

すべての技法が使えるようになるまで繰り返し練習が必要よ。

でも決して忘れてはならないのは、「ストーリーを伝える」ことよ。

“何を伝えたいのか”を自分に問いかければ、トーンや遠近法の使い方が自然にわかるわ.

これがビジュアルの最も効果的な使い方よ。

マイケル:
ピクサーの実習生だった頃の僕は、すごくおとなしい性格だったんだ。

実習生が自分の絵コンテをみんなに説明する「ピッチ」の時、僕は自信がなく、聞いているみんなの目を見て話せなかった。

すると講師をしているストーリーアーティストに、”マイク、どうしたんだ。自分の絵コンテが誇らしくないのか”と言われた。

その講師が本当に言いたかったのは、みんなが見ているのは自分ではなく、自分の作品ということなんだ。

それからは、ピッチの前に緊張しないように必ず実習生全員が外で、元気が出る音楽に合わせて準備体操をすることにした。

そして会議室に入り誰が最初にピッチをするか決める時、僕がまっ先に手を挙げると講師が大喜びしてくれた。

その出来事がピクサーで働くことになった後も励みになり、今でも準備体操に救われてるよ。あの時の講師の、ボビーのお陰さ。