こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。
ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。
今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座第【2-7】ストーリー作りのアドバイス/Adviceの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)
Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、2章は「キャラクター/Character」。
【2-7】ストーリー作りのアドバイス/Adviceは、2章の最後の講座です。
未来のアニメーターへ向けて、ピクサーのスタッフがストーリーやキャラクターを考えるときのアドバイスを送っていますので、最後までお楽しみください。
それでは、どうぞ!
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。
ストーリー作りで大切な3つ
“あなたはストーリーで行き詰まっていませんか?”
ストーリーは芸術です。
人々の心を動かす芸術を生み出すのは、簡単ではありません。
しかし、あなたが悩み、苦しみ、悲しみ、楽しみ、魂を込めた結晶が、1つのストーリーとなります。
今日はそんなストーリーで作りで悩むあなたのために、ピクサーが大切にしていることを3つご紹介します。
1. 忠実になる
ストーリー作りで大切なことは、「自分に忠実になること」です。なぜなら、ストーリーの世界で、あなたは好きな場所へ行けるからです。
例えば、こんな質問をしてみましょう。
“もし、休みがあってどこへでも行けるなら、どこへ行きたいですか?”
私は「南米アマゾンのジャングル」に行ってみたいです。”ジャングルの冒険をストーリーにしたら面白そうだな”って想像します。
ジャングルの冒険だけだとイマイチなので、間違って部族の縄張りに入って、部族たちを怒らせてしまいます。そして、色々な部族を想像して、部族は何を大切にしたいだろうかなって考えます。
ストーリー作りに順番はありません。
もちろん「伝えたいテーマ」は大切ですが、自分が見てみたい世界を想像し、そこにあなたのキャラクターが何をしたいのだろうか?と考えても良いのです。
2. あなたの人生を語る
ストーリー作りで大切なことは、あなたが「人生で影響を受けたもの」を表現することです。なぜなら、誰も同じ世界を見た人はいないからです。
自分が思わず笑ってしまったこと、兄弟との楽しい思い出など、「人生で面白かったこと」を考えてください。
誰もあなたの人生を見たことがないから、ストーリーという「芸術で表現する」のは新鮮であり、楽しんでもらえるのです。
ストーリーで大切なのは、自分が大切だと思うことを、強く信じることです。
3. 人にストーリーを伝える
ストーリー作りで大切なことは、「人にストーリーを伝える」ことです。なぜなら、相手は感じたことや気づいたことを自由に話してくれるからです。
ストーリーは相手に伝えることで初めて生まれます。家族、友達、仲間たち。特に仲間にストーリーを伝えたり、仲間のストーリーを聞いたりすることは、お互いのモチベーションを高めます。
部屋に一人で閉じこもる必要はありません。どんなストーリーでも、人に伝え続けることで、きっと道は開かれます。
ストーリーのアドバイス
ピクサーのスタッフが未来のアニメーターへ向けて、ストーリーやキャラクター作りのアドバイスを送っているのでご紹介します。
1. ストーリー作りで悩んだら、旅行する気分になってみて。ストーリーテリングの世界では、君はどこでも好きな場所へ行けるんだ。
– オースティン・マディソン:Storyboard Artist –
2. あなたが「言いたいこと」や「作りたい映画」を作れば良いのよ。
たとえ完璧じゃなくても、内に秘めたものを外の世界に出すのは素晴らしいことよ。
– ルイス・スマイス:Storyboard Artist –
3. ストーリー作りで行き詰まった時は、尊敬する友達のストーリーと比べてみるんだ。すると、
“自分は何を分かっていたのだろう?”
“もっと面白いものを作らなきゃ”
“自分にも作れるはず!”こんな風に思えるんだ。
– オースティン・マディソン:Storyboard Artist –
4. 僕は、人にストーリーを話すと自分が想像もしていない良いアイデアが思い浮かぶんだ。
もし君が、ストーリーをもっと良くしたいのであれば、何度も何度も「人に伝え続ける」ことだよ。「ストーリー」と「キャラクター」があっという間に進化することにびっくりすると思う。
– ロニー・デ・カルメン:Story person, director, designer –
5. アニメーションの仕事で本当に大切だと思うのは、「アピールをする努力」です。今、私はステキなアーティストたちに囲まれているけど、みんなどうにかして目立とうと努力しています。
「人が求めるもの」を気にするのではなく、「自分をアピールする」方が優先するべきだと思います。
– アートン・カービン:Storyboard Artist –
6. もし、ピクサーのような仕事をしたいのであれば、「ありのままでいること」が大切よ。
当たり前かもしれないけど、これが1番大事だと思うわ。
– ルイス・スマイス:Storyboard Artist –
7. もちろん失敗はたくさんあるよ。
でもストーリーテラーで1番成長する瞬間は、「物事が上手くいかない時」なんだ。もちろん、そのためには努力をし続けることだよ。
– ロニー・デ・カルメン:Story person, director, designer –
【2-7】ストーリー作りのアドバイス/Adviceのまとめ
ピクサーからのアドバイスはいかがでした?
もし、あなたがストーリーやキャラクター作りで行き詰まった時は、ぜひまた覗いてみてください。
あなたのストーリーが、人々の心を動かす作品になることを心より願っています。ぜひ、あなただけのストーリーを作ってくださいね。
【2-7】ストーリー作りのアドバイス/Adviceは以上です。また、2章「キャラクター/Character」の講座もこれで終了です。
お疲れ様でした:)
次回は3章「ストーリーの構成/Story structure」について学習します。
ピクサーのストーリーには原則があります。共感するストーリーの原則を知り、あなたのストーリーが共感する物語へと進化させてください。
【3-1】ストーリーの構成とは?/Introduction to structureでお待ちしています。それでは。
こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box。Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供す[…]
※「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
こんにちは!ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。ピクサーは世界が認めるストーリーテリングの伝道師。ピクサーの全21作品(1995年〜2019年)は、アニメ映画賞の最高峰と言われるアカデミー賞「長編[…]
【2-7】ストーリー作りのアドバイス/Adviceの動画
【2-7】ストーリー作りのアドバイス/Adviceの日本語翻訳
【登場人物】
オースティン(Austin Madison:Storyboard Artist)
ルイス(Louise Smythe:Storyboard Artist)
ロニー(Ronnie del Carmen:Story person, director, designer, trouble maker)
アートン(Aphton Corbin:Storyboard Artist)
– 新しいストーリーを考えるとき、どこから作り始めますか? –
オースティン:どんなストーリーを作ろうか悩んでいる君へ、アドバイスをするね。
僕がまだ映画を作りはじめる前の学生時代、自分によくこんな質問をしていたよ。
“もし休暇を取ってどこへでも行けるなら、どこへ行きたいか?”
僕は中世のお城に行ってみたいんだけど、”あぁ、これをストーリーにしたらかっこいいな”とか思うんだ。だから、いきなりテーマとか論争を考え始めなくていいんだよ。設定を考えて、それからキャラクターが、何をしたいだろうかと考えるのもアリだ。
それから”この城だけでは退屈だなあ、ドラゴンに襲撃してもらおう!”って考える。それからドラゴンのオーディションをしてみて、ストーリーを形していく。
悩んだ時は、旅行へ行く気分になってみて。ストーリーテリングと映像の世界では、君はどこでも好きな場所へ行けるんだ。
ルイス:あなたが気になっていること、見てみたいものを考えてみると、面白いかもしれないわ。
あなたが個人的に言いたいことや、”ああこんな映画を作ってみたい”っていうものを作ればいいのよ。
たとえ完璧じゃなくても、自分の内に秘めたものを外の世界に出すのは、とても素晴らしいことよ。
他の映画を見て、アイデアやインスピレーションを得たり、その「構成」や「問題への対処法」を参考にするのも悪くないわ。
大切なことは、自分に忠実になって、自分が大切だと思うものを、信じることよ。
– 新しいストーリーテラーにアドバイスはありますか? –
オースティン:僕は『ウォルトディズニー』がアニメーションを勉強する人のために建てた、カリフォルニアの美術学校に通っていて、「キャラクターの映像」について学んでいた。
学校では、アニメーション界で優秀な専門教授と一緒に勉強をするんだけど、1番得るものが多いのは「同期の仲間たち」からだったね。
ほぼ毎日一緒にいて、冗談も言い合うんだけど、ストーリー作りに行き詰まったり、投げ出したくなったりした時に、完成度の高い友達のストーリーと比べてみると、”あぁ、自分は何を分かっていたのだろう?、もっと面白いものを作らなきゃ、自分でも作れるんだ”って気づけるんだ。
今でも彼らとは、シーンのを調整している時に見せ合うよ。「多くの人に見せる映画」であることを一旦忘れて、監督とスタッフを笑わせることに一生懸命になっているよ。結局、僕らもただストーリーを語り合っているだけだからね。
ロニー:僕は他の人にストーリーを話すと、良いアイデアが思い浮かぶことがある。自分が思ってもいないところや話の途中とかでもね。「ストーリー」や「キャラクター」が生き生きしてくるんだ。
さらに話を聞いていた人たちは、感じたことや気づいたことを自由に話してくれる。ストーリーを「相手に話す」ことはキャラクターを良くするのに役立っているよ。
君がもしストーリーを作っていて、もっとよくしていきたいのであれば、何度も何度も「人に伝え続ける」ことだと思うよ。「ストーリー」と「キャラクター」があっという間に良くなることにびっくりすると思う。
部屋に1人で閉じこもっている必要はないんだ。良くても悪くてもどんな状態であっても、人に伝え続ければ、きっと誰かがアドバイスをくれるよ。
アートン:アニメーションの仕事を続けていて、本当に大切だと思うようになったのは、「アピールをする努力」です。今は本当に素晴らしいアーティストに囲まれているけど、みんなどうにかして目立とうと、努力しています。
そうするためには、「人が求めるもの」を気にするのではなく、「自分をアピールする」ことの方が優先すべきだと思います。
私がインターンシップや作品集で「自分が笑ってしまったこと」、「兄弟がしたこと」など、人生でとても面白かったことについて考えました。そして、これを絵コンテで表現しました。
みんなは、”これはどうやって考えたの?”って聞いてきたけど、私はこれを思い付いたわけではなくて、“これが私自身なの”って答えました。
私の人生を表現したことに、”もっと知りたい”とか、”新鮮で面白い”ってみんなが反応してくれたのです。
だから私ができる1番のアドバイスは、「自分が人生で影響を受けたもの」を見つけて、それを「アート」にするということよ。
ルイス:もし、ピクサーのような仕事に就きたいのであれば、ありのままでいることが大切です。
当たり前のように聞こえるかもしれないけど、これが1番大事なことだと本当に思います。
ロニー:もちろん「失敗」や「間違い」はたくさんあるよ。「何が間違っているか」に気づくこともあると思う。
でもストーリーテラー人生の中で1番重要な瞬間は、「物事が上手くいかない時」なんだ。「少しも進歩しかない時」とかね。
人間はいつも「もっと成長したい」と考えるけど、そのためには努力し続けるしかないんだよ。