【5-3】ショットの基本形/Basic shot types/Pixar in a Box

こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。

ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。

今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座【5-3】ショットの基本形/Basic shot typesの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)

Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、5章は「映画技法/Film grammar」。

【5-3】ショットの基本形/Basic shot typesは、「ショット」の種類についてお話しします。ショットを使い分けることで、あなたのストーリーを観客にわかりやすく伝えることができます。

キャプチャー画像を使いながら説明もしていますが、わからない部分は動画と日本語翻訳文と照らしながら学んでみてください。

後半のレッスンでは「ショット」を意識した絵コンテを描きますので、ぜひチャレンジしてください!

「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。

【5-3】ショットの基本形/Basic shot typesの動画

【5-3】ショットの基本形/Basic shot typesの日本語翻訳

【登場人物】
ナレーター(Louis Gonzales:Story Artist)
リー(Lee Unkrich:Director)
ブライアン(Brian Kalin O’Connell:Story Artist)
キャサリン(Katherine Ringgold:Editor)

ナレーター:
前回のレッスンでは、ストーリーをマイナービートとショットに区切りました。次は「画面構成」と「演出」について考えましょう。

各シーンの設定や環境は「舞台」として役割を持ちます。

ショット1
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

そしてキャラクターをカメラに映る範囲で配置することが「演出」です。

ショット2
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

観客がストーリーを理解しやすいように、現在に至るまで様々な種類のショットが映画の文法に取り入れられてきました。

例えば、ストーリーに新しい設定や環境が必要な時は、通常「ワイドショット」から始めます。

ショット3
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

「ワイドショット」は、カメラをキャラクターから遠ざけた演出で、観客に広い視野で新しい場所を理解させます。

このような「ワイドショット」を「エスタブリッシング・ショット」とも呼びます。

多くの場合「エスタブリッシング・ショット」の後に、サリーたちのような「ミディアムショット」が続きます。

ショット4
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

「ミディアムショット」は感情や会話が成り立つのに十分な近さで、ちょうど友達と話す時の距離です。

感情的に強調したい瞬間やストーリーの要点では、このサリーのような「クローズアップショット」が効果的です。

ショット5
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

「ロング」「ミディアム」「クローズアップ」の3つが、一番よく使われるショットです。

ショットの選択をする時に絶対に忘れてはならないのは、観客に「何を知ってほしいか」、そして「どう感じてほしいか」の2つの目的です。

それでは、ピクサーの仲間にショットについて聞いてみましょう。

– ロング、ミディアム、クローズアップはどのように使い分けますか? –

リー:
「ロング」「ミディアム」「クローズアップ」の3つのショットをシーンのどこで、どうやって使うかの秘訣を教えよう。

もしシーン全体を「クローズアップ」で撮影したら、どこが大切かわからなくなる。

ショット5
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

仮に会話をしている人たちを「ミディアムショット」で撮影しているシーンの途中で、突然誰かが秘密を暴露し始め「クローズアップ」に変わったとする。

そうすればシーン全体を「クローズアップ」で撮影するよりも、その瞬間の重要さが視覚的に伝わるんだ。

ブライアン:
どのショットもそのショットでしか表現できない新しい情報を伝えるんだ。

ショットの使い分けのひとつに、ロング、ミディアム、クローズアップの順番で変化させる方法があるけど、これだけじゃないよ。

例えば『カーズ』では、極端なクローズアップからワイドショットに移る。

ショット6
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用
ショット7
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

大切なのは、観客が「知るべきこと」と「感じるべきこと」をはっきりと設定できるショットを選ぶことさ。

ショットの設定の次に、観客が「知り」、そして「感じる」には何を見せたらいいか考えるんだ。

キャサリン:
『カールじいさんの空飛ぶ家』のマンツの隠れ家に向かうシーンの最初は、ミディアムに近いショットでカールとラッセルを見せているの。

ショット
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

隠れ家に着くとワイドショットになり、巨大な洞穴が目に入る。

ショット17
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

中に入ると大きく開けた場所が見え、ワイドショットから変わり者のマンツが何匹もの犬を飼っているのがわかる。

ショット10
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

そして夕食のシーンでは、ショットが狭まり親密になるの。

ショット11
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

シーンが展開するにつれカールはマンツの怪しさを確信し、身の危険を感じるカールのクローズアップになる。

ショット12
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

観客にカールの気持ちが伝わる素晴らしいショットよ。

ナレーター:
ショットを選択したら、次に画面の見せ方を決めます。

映画のスクリーンである画面にショットが映し出し、「視覚情報」のレッスンで学んだ要素を使います。

観客に「知ってほしいこと」と「感じてほしいこと」を基準に画面上の視覚的要素を構成します。

観客にわかりやすくストーリーの要点を画面に構成することが不可欠で、観客がはっきりと理解できなければ意味がありません。

最もわかりやすく画面で大切な物を見せたい時は、このイーゴのように中央へ配置します。

ショット13
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

「センターフレーム」から安定感や中立の状態が伝わります。

ショット14
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

もうひとつの方法は「三分割法」です。

画面を縦横3つに分けると、真ん中に長方形ができ、その長方形の角のひとつに大切な物を配置します。

ショット15
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

「三分割法」は映画でよく使われますが、より興味を惹く自然な構図です。

ショット16
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

次の演習は、ショットの基本形や画面構成に親しみましょう。

【レッスン】ショットを考えよう

白い壁紙に行動しなさいと書かれた文字と黄色の矢印

Pixar in a Boxのストーリーテリング講座のレッスンです。

今回は「ショット」について考えます。「3つの物語」「マイナービート」を使いますので、下記ページをご覧ください。

今回は2つのステップです。それでは、どうぞ!

1. 好きな物語のショット

あなたの好きな物語から好きなワンシーンを選び、以下3つの質問を考えましょう。

  1. ストーリーのシーンを強調する際に、ショットの種類(ワイド、ミディアム、クローズ)を変更しているポイントはありますか?
  2. 画面構成と演出によって、作り手はシーンでどのようなことを感じてほしいと思いますか?
  3. 「三分割法」が使われているショットはありましたか?

2. あなたの物語のショット

あなたの物語のマイナービートを使い、以下の3つを描いてみましょう。

大切なのは、観客に「知ってほしいこと」「感じてほしいこと」を意識することです。

  1. カメラの視点を意識しながら、それぞれのマイナービートで3つのショットをスケッチしてください。
  2. 「センターフレーム」、もしくは「三分割法」を使って、画面に被写体(キャラクターや物体)を配置してスケッチしてください。
  3. ①で描いた3つのショットを「演出」するため、天井からの視点で考えてください。カメラ、被写体、動線などをメモして下さい。
ショット2
Khan Academy/Pixar in a box/Film grammar/Basic shot types より引用

今回のレッスンは以上です。
ショットが描けた人は、コメント欄やTwitterに投稿してみてくださいね。

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【5-3】ショットの基本形/Basic shot typesのまとめ

ショットで大切なのは、観客に「知ってほしいこと」「感じてほしいこと」の考えることです。

「なぜ、自分はこのショットを選んだのか?」という理由を明確に持ちながら絵コンテを作成してください。

【5-3】ショットの基本形/Basic shot typesは以上です。
【5-4】エクストリームショット/Extreme shotsへお進みください。

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