【4-2】線/Line/Pixar in a Box

こんにちは、ストーリーライターのそーじろ(@sojiro_story)です。

ピクサーのストーリーテリングが学べるPixar in a Box
Khan Academy(カーンアカデミー)が世界の人に世界レベルの教育を無償で提供する、オンライン講座の一つです。

今回は、Pixar in a Boxのストーリーテリング講座第【4-2】線/Lineの解説です。(TOEIC950点かつピクサーファンの翻訳家が協力)

Pixar in a Boxのストーリーテリング講座は1〜6章あり、4章は「ビジュアル/Visual language」。

【4-2】線/Lineは、映画における「構図」と、構図の基本となる「線」の役割についてお話しします。

キャプチャー画像を用いて解説していますが、わかりづらい部分は動画と日本語翻訳文を照らしながら学んでみてください。

後半にはレッスンを通して実際に「線」を描いみましょう!

「ピクサーのストーリーテリング41ステップ」で講座の一覧が見れます。
※日本語の翻訳全文はページ下部に載せています。

【4-2】線/Lineの動画

【4-2】線/Lineの日本語翻訳

【登場人物】
ナレーター(Bobby Rubio:Story Artist)
スコット(Scotto Morse:Story Artist)
アルバート(Albert Lozano:Character Art Director)
マイケル(Michael Yates:Story Artist)
ダニエラ(Daniella Strijleva:Production Designer)

ナレーター:こんにちは。ピクサーのストーリーアーティストのボビー・ルビオです。このレッスンでは「構図」で使われる基本的な要素について学びましょう。

構図とは、シーンごとに視覚的要素を組み立てたものです。

映画で使われる視覚的要素とは「線」「形」「空間」「トーン」「動き」「色」があります。視覚的要素はストーリーの意味を伝えたり、感情を表現するために使うことができます。

アートとストーリーを担当している、僕の仲間を紹介しましょう。

スコット:やあ。ストーリーアーティストの、スコット・モースだよ。
アルバート:キャラクター・アートディレクターの、アルバート・ロザノだよ。
マイケル:ストーリーアーティストの、マイケル・イエーツです。
ダニエラ:ピクサーのプロダクションデザイナーの、ダニエラ・ストリレヴァよ。

ナレーター:
このレッスンでは、アートとストーリー部門で使っている、いくつかの画像を見てましょう。

「絵コンテ」 、「ビートコンテ」、「コンセプトアート」です。

「絵コンテ」は映画の画面を表現した、簡単な絵のことです。複数の絵をつなげて映画の道筋を伝えるもので、複雑なコンピューターの作業の前に作ります。

線1
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

「ビートコンテ」は、3章で学んだ映画の大切な瞬間である「ビート」の説明に使われ、物語の決定的なシーンを伝えます。

線2
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

「コンセプトアート」も、映画のカギを握る瞬間を表現しますが、通常もっと完成度が高く、複数の色で描かれ、シーンごとの「光」と「色」の使い方を指定します。

線3
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

ここで、『カールじいさんの空飛ぶ家』の最終のシーンを使って、構図の意味や感情がどのように表現されているのか考えてみましょう。

ダニエラ:
観客は映画のこのシーンまでに、カールとエリーが若い頃の元気で楽しそうな姿を観ています。二人が幸せな結婚生活を送っていたのが、この構図からもわかるわ。

線4
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

マイケル:
構図によって、見る人がキャラクターと深くかかわることができるんだ。

『カールじいさんの空飛ぶ家』の白く明るい窓が目線を内側に移動させ、カールの視線の先にいるエリーに向けさせるよ。

そしてエリーの頭の向きから、カールを見つめ返していることがわかる。だから見る人を、絵の中央の「二人の視線」に集中させるんだ。

アルバート:
二人が見つめ合っている姿を見たとたん、お互いの心が行き交っているのが伝わり、見つめ合う二人に自然に目がひきつけられるんだ。

その他の視覚情報は気にならないほど、二人の視線に目を奪われるね。

スコット:
『カールじいさんの空飛ぶ家』のこの絵を見る時、カールの方に少し注意がいくね。

線5
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

エリーを気遣うカールが何を考えているのかが気になると同時に、なぜエリーが幸せそうなのか知りたくなる。

ナレーター:
このように色々なことが伝わる構図は、すべて一本の「線」から始まります。

思っている以上に線が様々な意味を伝えることができる理由は、たくさんの性質を持つからです。

例えば、線の方向を自由に変えたり、

線9
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

細くしたり、太くしたりもできます。

線10
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

形を変えることもできるし、筆圧も調整できます。

線11
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

こうした線の「性質」を使って、意味を伝えることができのです。

「おどおどした線」、「怒っている線」、「沈黙した線」はこんな感じでしょうか?

線12
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

映画のキャラクターや環境を描く時も、同じ方法を使います。

スコット:
『カールじいさんの空飛ぶ家』のカールとエリーのシーンでアーティストが使った「線」は、二人の自然な無邪気さを表現するのに役立っているよ。

二人の心は若い頃と変わらず、命の輝きさえ感じるね。

アルバート:
『カールじいさんの空飛ぶ家』のこの絵を描いたダニー・ロペスは筆を使って、窓の辺りに上下に走るユラユラした雰囲気を作り、得に窓枠の揺らぎが外の世界の可能性を感じさせるんだ。

線13
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

カールはエリーを見ているけれど、エリーはカールを通して窓の外の光にずっと目をやっているんだ。

まるでエリーはカールに、”あなたにはまだやることがある。私はベッドから動けないけど、あなたには冒険が待っている”と伝えているようだよ。

スコット:
『カーズ / クロスロード』のこの絵では、線の使われ方が少し違うよ。

線6
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

マックイーンを描いている線は大ざっぱだけど、緊急発進している動きと感情がとても伝わってくる。

マックイーンはすごく必死で焦っているけど、たぶん間違った判断をしている場面だ。不安定で混乱しているマックイーンを見せたかったんだ。

だから線が二重にも三重にもなっているよ。まずマックイーンに目が行くのは、彼が発する凄まじい力が、ガタガタした感じやスピードを伝えるからさ。

ダニエラ:
『メリダとおそろしの森』のメリダの絵がとても気に入っている理由は、メリダの特徴を捉えているからよ。

髪の毛の描かれ方からして、メリダは押さえつけられることを我慢するような性格じゃなく、自由を求めていることがすぐに伝わる。

線8
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

映画のストーリーを知らなくても、メリダは少し野生的で、言われたことにすぐ従わない雰囲気や、自分自身の生き方を探している強さが伝わるわ。

1枚の絵の髪の毛の描き方ひとつで、メリダの性格を表現できるのよ。

アルバート:
得にやり甲斐があった絵のひとつは、『インサイド・ヘッド』の「抽象化の部屋」のシーンだよ。

3つのキャラクターを「単純な線」に置き変え、線に残された情報だけでどの線がどのキャラクターかを区別し、見る人に伝える必要があったんだ。

そこで線に「色」をつけ、さらに色がついた線が動いたら面白いと思ったんだ。

線14
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

次に、キャラクターに例えた線を動かしてみて、そのキャラクターの特製に合わせた線の「動き」を考えたよ。

例えば、カナシミの線はどのように動いて、どのような色が最適かを考える。ヨロコビの線の場合どうなるか?ヨロコビの線は楽しい線だから、どのような動きをするのか?

線7
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Line より引用

 

映画では気づかないけど、このエクササイズは楽しかったよ。ほんの一瞬でも、それぞれの線が特徴を見せてくれるんだ。

ナレーター:
ペンで描いた数本の「線」が、画面に世界を創り出し、その世界に命を吹き込み、感情を表現することができるんだね。

次のレッスンでは、線の「方向」、「太さ」、「形」、「濃さ」について色々試してみましょう。本物みたいに描けなくても大丈夫です。
このレッスンの目的は詳しく上手に描くことではありません。

スケッチをして、キャラクターや場面の最も大切なところを、簡単にわかりやすく伝えてみましょう。楽しみながら描いてください。

【レッスン】線を描いてみよう

白い壁紙に今すぐ試すと書かれた文字と青い矢印

Pixar in a Boxのストーリーテリング講座のレッスンです。

今回は「線」について3つレッスンを行います。

1. 線の役割を考える

レッスンのシーン
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Activity 1より引用

上記の画像で「線」はどのような意味と感情を伝えていますか?

また、あなたが最初に視覚に入ったポイントはどのポイントへ移動したのか、その線を特定してみましょう。

2. 感情の線を描く

感情の線
Khan Academy/Pixar in a box/Visual language/Activity 1より引用

白紙を用意して、左下と右下に異なる「感情」を書きます。(怒り、悲しみ、喜びなど)

そして左から右へ線を描き、半分から左側は「左下の感情」。半分から右側は「右下の感情」を表現しながら一本の線を書いてください。

3. 線のキャラクター

1本の線でキャラクターを作り、名前と簡単な説明をつけてください。

同様に複数のキャラクターを描き、様々な線を書いてみましょう。

今回のレッスンは以上です。
線が書き出せた人は、コメント欄やTwitterに投稿してみてくださいね。

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【4-2】線/Lineのまとめ

線は構図を描くための基礎となります。

線から伝わる意味を理解し、あなたのストーリーやキャラクターを様々な方法で表現してみてください。

【4-2】線/Lineは以上です。
【4-3】形/Shapeへお進みください。

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